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★富士登山記

 具体的な理由はないけど、富士山には一度登りたいと思ってました。強いて言うなら、日本人だったら登っておきたい、というところでしょうか。登ると決めたのは去年で、念のために冗談めかしていろんな人に吹聴。言ってしまうと引っ込みがつかなくなるからで、これは自分の場合、何か面倒なことをする際とても有効な手段です。
 ともかく、詳しく下調べを始めたのは6月頃でしたが、調べてみると、富士山が一般登山客に開かれているのは7月と8月だけらしい。わりといつでも大丈夫かと思っていたのが、出鼻をくじかれた気分。しょうがないのでもう乗りかかった船ということで8月に登ってしまうことにしました。

 誰か一緒に行かないかなと何人か友人に聞いてみましたが、
僕「今度富士山に登ろうと思ってるんですよ~」
友「いいですね、自分も一回登ってみたいですね!」
僕「御来光とか綺麗らしいですよ」
友「一生に一度くらいは見てみたいですね~」
僕「じゃあ一緒に登りませんか!」
友「それはノーでお願いします」
 ……舐めやがって……!
 もう一人で行くことにしました。交通手段が面倒なので、バスツアーです。ただし登山は各々のやつ。

 こういう時、準備は念入りにするタイプなので、まず必要なものを買いました。装備は大体次の通り。ザック(25リットル)、ザックカバー、ストック、衣類、レインウェア、軍手、帽子、タオル、ライト、水(500ml)、スポーツドリンク(500ml)、酸素缶、酸素錠剤、飴、携帯食料、カイロ、水溶性ティッシュ、ウェットティッシュ、ビニール袋、絆創膏、携帯電話、デジカメ、電池、コンパス、財布。

 まず五合目までバスで行って、そこから登り始めます。ただし急いで登ってしまうと高山病になりやすいということで、五合目で1時間ほど体を慣らし(五合目で2300mほどありました)、その後12時半過ぎに出発。

富士山1
登山口

富士山2

 富士山に登るルートはいくつかあって、僕が登ったのは河口湖口。一番メジャーな登山道らしく、人で溢れてます。行く人はまだ余裕の表情、帰る人は疲れ果てた顔。

富士山3

 六号目くらいまでは比較的歩きやすい道なんですが、それを過ぎると急に登りづらい岩場になってきます。

富士山4

 八合目まで来ました。3000mです。このあたりまで来ると流石にかなり酸素が薄いです。酸素が薄いと、ちょっとした運動ですぐ疲れます。動悸も早くなります。バリバリ文系の僕の想像ですが、ATP(生物の使うエネルギー)を合成するための酸素をより多くの呼吸によって取り入れないとならなくなるから、かなあと思います。

富士山5
雲ももう大分下の方になりました

 ここまでは実はわりとラクに登れたんですが、八合目を少し過ぎてから体調に異変が……。頭が少し痛い。軽い高山病のようです。これが一番怖かったので、予防措置は出来る限り取って来たんですが、なってしまったものは仕方ない。ちょうど宿泊予定の山小屋に着いたので、休みつつ様子を見ることにしました。

富士山8
泊まった山小屋、富士山ホテル。他の山小屋は「太子館」とか「白雲荘」とかそれっぽい名称が付いてるのに、なぜかここだけこんな名前。

富士山6
本八合目、3400mだとカロリーメイトの袋もぱんぱんに

富士山7
雲が超綺麗

富士山9
衝撃の狭さ。緑のシャツは隣の人ですよ。

 山小屋に着いたのが午後5時半、食事を取って横になるも全然眠れない。少しだけまどろんで起きると、一応高所に順応したのか、体調もそこそこに回復してくれていて、なんとかまだ登れそうなので、御来光目指して出発することにしました。時間は午前1時前。この時間、真夜中にも関わらず、最早群れと言っていいくらいの登山者がわらわらと行列になって山頂に向かっています。暗闇の行軍です。

 そしてここから山頂までは写真がありません。なぜなら、九合目まで来たところでやっぱり高山病の症状が出て、死にそうになっていたからです。ここから山頂までは文章でお送りします。
 頭痛は結構ましだったんですが、今度は軽い吐き気に悩まされました。それでもカロリーと水分は補給しないといけないので無理に詰め込んで流し込んで、遅々として進まない渋滞の中を進みます。もう引き返すことは出来なさそうだったので、これだったらさっさと登ってさっさと降りたほうが良さそうでした。修験者になった気分。ちなみに酸素缶は持っていましたが、吸っても特に効果はありません。気休めだ気休めだとは聞いていましたが、ガチで気休めすぎる。
 九合目から上、距離自体はそんなにないはずなのに、ここが一番長く感じました。皆ヘッドライトをつけているので足元は明るいとはいえ、いつ終わるか分からない道のりを暗闇の中歩くというのは精神的にかなりキます。後ろの人が連れに「自衛隊の行軍のほうがキツかったよ」と話していました。自衛隊やばい。
 気温が0度に近く、吹き荒ぶ風もつらいです。
 また、酸素が薄いせいで、頭もあまり回りません。どこかで読んだ記憶によると、人間の体で一番多く酸素を使うのは脳で、全酸素消費量の20%を占めているとか。そりゃあ何か考えているヒマがあったらちょっとでも運動に回したほうがいいってことですね。それでも一歩進むごとに息を整えなければならない始末。
 そんな状態で大体1時間くらい、ようやく山頂に辿りついたのでした。本気で泣きそう。午前4時でした。

 山頂はご来光を待つ人々でごった返し。寒さで凍えていたので、一杯400円の缶コーンスープを飲んで、カイロで暖を取りながら待つこと数十分。夜が明けてきました。

富士山10
御来光きたーー!

富士山11
山頂は人多すぎ

 とはいえ、体調が逼迫していて、一刻も早く低地に戻りたかった僕は御来光の昇り始めた瞬間、下山開始。ちなみに火口とかは一切見てません。華麗にスルーしまくり。でも御来光が昇って行くのを眺めながら下山というのもまた良し、とします。

富士山12

富士山13

富士山14
絶景ってレベルじゃねーぞ!

 下山道はブルドーザーで整備されていて、下るのは非常に楽でした。
 そもそも登山と下山ではエネルギーの使い方の理屈が全然違います。登る時は要するに、カロリーを運動エネルギーに変えて、それをさらに位置エネルギーに変えているという理屈ですが、下る時は位置エネルギーが自動的に運動エネルギーになってくれるので、自分で運動エネルギーを作り出さなくていいということです。ただしその代わり位置エネルギーを全部運動エネルギーに変えてしまうとそれは自由落下になってしまうので、今度は余った分を支えるエネルギーが必要になってくるのだと思います。まあ全部推測なんで物理に偉い人教えてください。

 そんなこんなで帰りはあっという間に下まで降りられます。八合目くらいまで降りると、高山病の症状もソッコーで治まりました。良かった。つらかったのは、下山道はつづら折の道が延々続いている単調な道だったことくらいでしょうか。
 最終的に下山に要したのは3時間とちょっとくらい。4時半に山頂を出て、8時前には五合目に着いてました。そして早く降りすぎたので、休憩部屋でだらだら寝てから、バスで帰宅。

 総合的に見て、高山病にはなったものの頂上に立てたし、ポツポツ雨は降ったものの本降りにはならなかったし、御来光も見られたし、運は良かった方ではないでしょうか。言い換えると登頂はしましたが、運が良かっただけだとも言えます。とても制覇したって感じではないですね。山に登らせてもらったというところです。人間は自然に生かされている…うむ。
 死ぬほどキツかったですが、行ってよかったです。

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プロフィール

晴瀬ひろき

Author:晴瀬ひろき
漫画家・イラストレーター
1981/11/30生まれ

公式サイト
キラクナデイズ


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